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  • 著者名:

    三月千尋(プロフィール

  • 公開日:2014年3月3日
  • ©描楽書蔵

片袖の恋 ー 千葉の鬼小町・さな子 ー

幕末、修行中の坂本龍馬と淡い恋をした剣術の達人・千葉さな子。生涯独身であり、恋も仕事も自分らしく筋を通して生きたさな子の人生を描く。

幕末のはじめ。
江戸・千葉道場の娘、さな子は、「千葉の鬼小町」とも呼ばれ、女だてらに免許皆伝の腕を持つ一風変わった人物。
幕末のヒーロー、坂本竜馬の許婚ともいわれ、生涯を独身で終えた。
この物語は、江戸時代の元祖『負け犬』、千葉さな子の一生と竜馬との恋、そして彼女の眼が見た幕末を描く。
1853年、さな子一七歳、竜馬十九歳。
剣術修行のため土佐から江戸に出てきた竜馬。
道場で出会ったさな子との間に、淡い恋心が生まれる。
ある日、黒船来航の一報を聞いた2人は浦賀へと奔走。夜を徹して走った竜馬とさな子は、そこで勝海舟と出会う。
恋と天下回天への志に燃える竜馬。
しかし、剣術修行の期限が迫り、しばし江戸を去る。
2年後。辻斬りに襲われたさな子の前に突然現れた竜馬は、脱藩をし、浪々の身となっていた。
さな子との縁はなかったものと心に決め、志士活動に奔走するが、さな子には竜馬の真意がわからず、不安ばかりが募る。  
そして竜馬が江戸から京へ旅立つ、その夜。
この恋に生涯を賭ける決意したさな子は道連れを懇願するが、竜馬は受け容れない。
さな子を抱き寄せ、片袖をもぎ取り「京へ持って行く」と微笑み、出て行くのだった。
江戸に残されたさな子は、京からの報せに一喜一憂する日々。寺田屋事件の竜馬危機の噂、そして届いた「竜馬、結婚」の報せ。
勝海舟からおりょうとの関係を聞いたさな子は、もはや自分が竜馬の意中にない存在と知り、竜馬を忘れ剣一筋に生きる決意をする。
乱世。生活は逼迫、世相が次々と変遷する。
大政奉還が成され、いよいよ新しい時代の夜明けという時に「竜馬暗殺」の凶報。
さな子は忘れたはずの恋心が消えていないことに苦しみ、雪の浦賀港で、ただ竜馬を想う。維新後、女学校の舎監となったさな子の元に、竜馬の元妻・おりょうが現れる。おりょうが差し出したのは一通の手紙。
そこには、若い日の竜馬の恋心が綴られていたのだった。

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